Shikimiのオーダーシート置き場

推しシーシャのオーダーシート置き場です

影片みか(あんさんぶるスターズ!!)

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◾推しの名前

影片みか

◾登場作

あんさんぶるスターズ!!

◾フレーバーカード

希望する

◾推しの好きなところ

スタライのライビュでValkyrieのステージをみて、ステージ上で歌って踊る影片みかくんってやっぱり格好良いなと改めてしみじみ思いました。そんなときに「思い出した」記憶が次にあげる夢小説で、夢主は42歳の既婚男性で妻と8歳になる娘がいます。そんな限界リアコ夢おじさんの夢小説のイメージで夢シーシャをお願いしたいです。フレーバーカード(夢絵)は影片みかくん単体でも、夢主の「私」を紛れ込ませて描いて頂いても、どちらでも構いません。今回のオーダーシートも長文となってしまい大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。(約4800字)

◾️夢小説

儚さに潜む醜さも

雄弁に語ってしまう瞳-め-で
交わす言葉など知らなくとも

傷つけあうのは容易いね

(Valkyrie「Last Lament」2番Aメロ みかパート)

左目は青、右目は黄色のオッドアイと目が合ったような気がした。

過去の過ちを悔いる詞とは裏腹に、どこまでも澄みきっていて穢れのない光風霽月こうふうせいげつな歌声に身震いがする。

光風こうふう」とは、晴れあがった春の日にさわやかに吹く風、「霽月せいげつ」は雨が上がったあとの月を指す言葉だ。転じて、光風霽月は心が清らかで、わだかまりのない様子を表す。

ステージに立つ「彼」の姿に目が釘付けになってしまった。

ビスクドールのような頬から幽鬼にも似た妖しげな妖気が立ち昇っている。

その日の光景はいまでも忘れられない。スモークが焚かれたライヴハウスには霧が立ちこめ、現世の憂いはたちまちもやに包まれて漆黒の舞台に姿を変えた。黒い歯車がゆっくりと回転し、深紅の塔は増殖する蔦に絡めとられ、フロアに集った生贄たちを青白い月光が優しく照らす。隣にいる私の娘はぽっかりと口を開けて興奮したまなざしでステージを見つめていた。

Last Lament…

それは「最期の嘆き」という意味だ。

瀆神とくしんの調べが暗黒の城に木霊こだまする。

妖しい光をたたえたオッドアイが世の無常をなによりも雄弁に物語っていた。私は地獄の業火に身をかれる思いで「ビスクドールの君」を見つめると、その姿をそっと目に焼き付け、ゆっくりとまぶたを閉じた……。

 

 

「……課長。竹花課長。おつかれですか……?」

目を開けるとそこにはパンツスーツを着た女性行員が手をゆさゆさと振っていた。

「ああ、すまない。仕事が溜まっていて少しぼんやりとしていたようだ」

現実に引き戻され、目の前には書類の溜まった職場のデスクが現れた。

「先週は週末に娘さんとライブに行くんだってあんなに嬉しそうにしていたのに……。やっぱり慣れないライブは疲れましたか?」

「……まぁ、そんなところだ」

私は地方銀行の小さな支店で課長の役席を拝命している。主任から支店長代理までは順調に昇進できたものの、行内でいまいち冴えない役どころだった私は融資課の課長に収まった。課長まで昇進できたとはいえ、小さな支店の課長なんてたかがしれている。人付き合いの苦手な私は副支店長への昇進は難しいだろう。それでも部下には優しく接するようにしていて、なかでも入行三年生のこの若手行員とは仲良くしていた。ハキハキとした話し方で愛想もよく、よく喋る彼女は融資課のムードメーカーだ。私はデスクの引き出しから「ビスクドールの君」のブロマイドを取り出した。

「あ! それValkyrieの影片みかくんですよね」

「知っているのか?」

「知っているもなにも。いま話題のアンサンブルスクエアESのトップアイドルですよ!」

「…………」

「課長がご存じないのも仕方ないですけどね。うちの妹がESアイドルのオタクで。それでよく話を聞かされてたんですが……そっか~あのValkyrieがこの地方都市まで巡業に来ていたんですね!」

「ああ。娘がどうしても見に行きたいと言って聞かなくて。夜一人で出歩くのはあぶないから父さんが一緒にいこうって言って二人でステージを見てきたんだ」

「子煩悩なパパさんですね!」

「娘には『え~~おやじと見に行くの~~?』って泣きべそかかれたよ」

「(笑)」

年頃の娘を持つ父親はつらい。今年で四十二歳になる私には八歳の娘がいる。妻とは結婚相談所で知り合った。恋愛結婚ではないが、娘ができてからは仲睦まじい夫婦を演じられている。まだまだ顔立ちは幼いが、変にませたところのある娘はアイドルにぞっこんだ。

昼休憩のチャイムがなって、部下はスマホを取り出して検索し始めた。

「あ、Valkyrieですけど今日の夜にこここの地方都市で最後のライブをやったあと、明日には帰っちゃうらしいですよ」

胸のうちを見透かされたようでどきりとした。動揺を顔には出さないように努める。

「そうなのか」

「はい、影片みかくんが帰っちゃいます」

「そうか、あの子は影片みかくんと言うのか……」

「そのブロマイド、どうしたんですか?」

「ああ、娘から一枚貰ってね」

嘘だった。ライブ終演後の物販で「ここからここまですべてくれ」と言って買い占めたうちの一枚だった。

「君なら知っているかもと思ってね。それで職場に持ってきた」

 

週末の出来事を反芻する。ライブのあと娘に手を引かれて生まれて初めて「特典会」というものに参加した。CDを一枚買うとアイドルと十秒お話できるそうだ。私は居ても立っても居られなくなって「ビスクドールの君」の前に立った。

「あ、あの……」

「おっちゃん! ステージから見えてたで。へへ。おれのなまえは『影片みかかげひらみか』! なまえおぼえてかえってな!」

「…………」

「はい、お時間でーす」

幽鬼のように見えた影片みかが破顔して、ニコッと人懐っこい笑みを浮かべている。ステージ上ではビスクドールのように見えた頬はぷにぷにとしていて、上気していた。「ビスクドールの君」は、端正な顔立ちに幼い笑みと好奇心を浮かべた少年だった。心臓が「とくん」と脈を打つ。

「んあ? どうしたん? おっちゃん、顔が真っ赤やで!」

「はーいお時間でーす。次の方に変わってくださーい」

ストップウォッチを持ったスタッフが苛立たしげに声をかけてくる。我に返った私は会釈をしてその場を去った。待っていた娘が訝しげに顔を覗き込んでくる。

「どうしたの? おやじ、挙動不審だよ」

「あ、ああ。父さんは物販のほうを見てくるからこれで握手してきなさい」

長財布から一万円札を取り出して娘に手渡した。

「え、ほんと!おやじ太っ腹~。宗さまといっぱいお話してくる♪」

 

部下がまた私の目の前で手をわさわさと振っている。

「課長、今日の夜です」

「ああ」

私の顔をみて部下は優しい表情を浮かべた。

「私にはお見通しですよ。みかくんのこと、相談したかったんですよね?」

「…………」

図星だった。思わず俯いて、悶絶してしまう。

「顔を見たらわかりますから。応援しています♪」

胸が苦しい。いますぐ影片みかに会いたい。

 

 

私はジャケットの内ポケットから長財布を取り出し、渋沢栄一を三枚机の上に置いた。スタッフの顔に一瞬動揺の色が浮かんだが、すぐさま声を張り上げて「みか三十枚!」と叫ぶ。特典会の会場がざわざわとどよめき立った。辺りには若い女性のファンしかいない。その中でスーツのおじさんはただでさえ浮いているが、あえて胸を張って堂々と立つ。私は銀行の課長だ。君たちとは社会経験が違う。

三万円で影片みかの「五分間」を買った。

いま考えるべきは「何を話すか?」だ。覚悟を決められずにバックヤードをみると、スタッフが何やら話し合っている。すると一人がこちらへ歩んできて、優しく声をかけてきた。

「お客様は鍵閉めとなります」

「すみません、どういうことでしょうか?」

「あ、申し訳ありません。いちばん最後という意味です。お客様がいちばん多く買われましたので、順番を最後に調整させていただきたく思います。それともお急ぎでしたか?」

「いえ」

「お待たせしてしまい、申し訳ありません。そのぶん、少し時間をサービスさせていただきますので……」

「助かりました。こちらも心の準備ができます」

ふと周りをみると、首にタオルを巻いた女性ファンがグッと親指を立ててこちらを見ていた。

 

 

「あ、おっちゃん! また来てくれたん? おれ、おっちゃんのことおぼえとったで♪ なんやぎょーさん買ってくれたみたいで、嬉しいわぁ」

影片みかは私を見て目を輝かせたかと思えば、でれでれとした笑みを浮かべて手を握ってきた。

「あ、あの。みみみみかくん……」

「そんな緊張せんとって! おれ、みてのとおりひよっこやから、こんなおれに緊張することないよ? それより、おれのなまえ、ちゃんとおぼえてくれとったんやね」

「うん、覚えてたよ。影片みかくん」

「あんなぁ」

「うん」

「おれ、若い女の子のファンは多いねんけど、パリッとしたスーツ着たおっちゃん見て、めずらしいなぁ思ってん」

「うん」

「それでなぁ、おれ自分に自信が無くてなぁ」

「うん」

「おっちゃんみたいなしっかりとした大人の男の人がおれのこと見ててくれるの、うれしいなぁって」

「うん」

「んあ~、なんかうまく喋られへん……おれの言うてることわかる?」

「わかるよ」

「つまりなぁ、おれはおっちゃんがまた来てくれてうれしいってこと! にへへ~」

花が咲いた。辺り一面の向日葵が一斉に開花したような眩さだ。

ステージの上では月のようだと思った相貌は、いまや太陽のように自ら光を放っている。人懐っこい幼子の笑みに、胸が早鐘を打つ。緊張の奥底から、じわりと温かいものが込み上げてきた。それは「愛おしい」という感情に違いない。すべてを投げ出して目の前の少年を抱きしめたかった。意を決して言葉を手繰り寄せる。

「あ、あの! 私も君に伝えたいことがあって」

「どしたん?」

「ステージに立っている君は最高に格好よかった」

「えっへへ。照れるわぁ~」

「ステージの上で歌い踊る君は、最高に格好よくて、美しい。それがどうしても伝えたかった」

目から一筋の雫が頬を伝った。

「おっちゃんどうしたん? 泣いてるん?? んぁ~どないしよ~~~~」

人懐っこい笑顔が驚愕に変わって、おろおろする影片みか。本当に目まぐるしく表情が変わる子だ。するとストップウォッチを手に持ったスタッフが、ふところからハンカチを取り出し、私に貸してくれた。そっと涙を拭い、意を決して目の前の少年を見つめる。

「影片みかくん」

「んあっ! はい!」

「今日はありがとう」

そして生まれてきてくれてありがとう。

私の表情をみて、影片みかは落ち着きを取り戻したようだ。

「こちらこそおおきに。また来てな♪」

「うん。またね」

宝石のようなオッドアイが私を見つめ返してくる。

そっと目線を外し、スタッフに会釈をして、私は出口へと向かって歩きだした。

すると、後方から影片みかの小さなうめき声が聞こえてきた。

「んあっ! おれ、おっちゃんの名前聞くの忘れたぁ……」

うなだれる少年の姿が目に浮かんでくる。それでも私は振り返らない。影片みかが「おっちゃん」と呼ぶその声が、とても特別な響きに聞こえた。この胸の高鳴りを隠しきることができただろうか。心地よい高揚感のあとに胸を締め付けるような悲哀が押し寄せてくる。

嗚呼、影片みかくん――。

みかの口から紡がれた玲瓏れいろうな詞が頭の中でリフレインする。

荒唐無稽な祈りに縋っていても

救いの無い想いは消えはしないでしょう?

(Valkyrie「Le temps des fleurs」2番Aメロ みかパート)

この気持ちを「恋」と名付けるなら、光風霽月の境地には程遠いに違いなかった。

 

◾苦手なフレーバー

なし

◾シーシャ経験

◾使用するフレーバーについて

ニコチン入りOK